その30 静岡武修館(葵区辰起町)
今回紹介するのは、古武道「力信流」の普及に尽力された故大長九郎先生により設立され、昭和58年に現在の静岡市葵区辰起町にて再興、現在も多くの門下生により受け継がれている「静岡武修館」です。
疋田朝子館長、金原康倫先生、金原友昭先生を中心に幼稚園生から大人まで、多くの剣士がともに汗を流し、これまでに、各世代で全国大会出場者を数多く輩出している歴史ある道場です。
取材当日は土曜日、17時過ぎに訪問すると、とびきりの笑顔で疋田館長が出迎えて下さいました。
お話を伺うと、「力信流」(神の力を信ずるの意)の古武道を継承する静岡武修館は、静岡市富士見町にて創立されましたが、昭和20年に空襲で焼失。その後門下生であった疋田館長のお父様である日下部養一氏と、佐々木正夫氏により再興されました。お父様の亡き後、大好きな子供たちのため、お父様の遺志を継ぎ、剣道を通じて青少年の育成に尽力したいとの思いから続けてこられていらしたとのこと。熱い思いを感じました。
また、これまでの輝かしい記録もさることながら、多くの門下生からの温かいお手紙や、お写真、メッセージがとても印象に残りました。
道場内を見渡せば、輝かしい賞状、トロフィーもありますが、「剣道稽古の心得」「目標を達成する為には」「攻撃は最大の防御である」など、教訓となる言葉が目に留まります。
18時00分になると、3.歳から小学低学年の子供たちが「こんばんは~」と道場に入ってきます。
疋田館長も「こんばんは~」と一人一人の顔を見て声をかけながら出迎えてくれます。「先生、今日はね~~」とお話がはずみます。
さて、準備を整えた子供たちは、道場に敷かれた紐はしごに向かいます。一人、また一人と、その紐を踏まないように、小刻みなすり足でぐるぐると廻ります。先生も一緒になって、スピードがどんどんアップ。楽しみながら、そして自然に足運びができるようとの準備運動です。
18時30分から少年部がスタート。子供の指導を続けて20年の金原友昭先生が号令をかけます。「1.2.1.2」準備体操、続いて、道場の端から端まで、大きく素振りをしながら一本、一本、大きな声で素振りしながら進んでいきます。「構えてから傘をさすように竹刀の剣先を上げて面を打つんだよ。」「攻めるときはおへそを攻めるんだよ。」そして「美しい一本」を打てるようにと。
次に「トントントントン♪♪」軽やかな琉球太鼓が響き渡ります。音に合わせて、前・後・左・右リズミカルに竹刀をもって、足の運び方を練習します。斜め左、斜め右、どんな体制でも崩れないように。そしてどんな体制からも打ち込める足腰を作ります。
次に所作の稽古です。正座、手の平で三角をつくっての座礼、立ち方、姿勢、膝をついての竹刀の取り方など、剣道の所作を繰り返します。
「剣道は礼に始まり礼に終わる。」常日頃の稽古のなかで、所作を身につけることができることは実に貴重だと感じました。
あらためて、始まりの挨拶です。「剣道の理念:剣道は剣の理法の修練による人間形成の道である」「剣道修練の心構え:剣道を正しく真剣に学び、心身を錬磨して旺盛なる気力を養い、剣道の特性を通じて礼節をとうとび、信義を重んじ誠を尽くして、常に自己の修養に努め、以って国家社会を愛して広く人類の平和繁栄に寄与せんとするものである」を皆で暗唱します。
後半、面をつけた子供達は、中学性、大人が元に立ち、基本の稽古が始まります。
面の切り返し、面・胴の切り返し、30本切り返しなど、切り返しだけでもバリエーションにも富んでいます。
面振り返り面などの技の稽古では、見本をきちんと見せながら、足さばき、体捌きなど一つ一つ説明しながら稽古をします。
始まりには「お願いします」終われば「ありがとうございました」と。区切りごとに大きな声が響きます。
ま だ面をつけない子供たちは金原康倫先生指導です。道場内にタイヤが持ち込まれ、タイヤに向かって力強く思いっきり打つ稽古をします。次に防具をつけた先生方が元に立ち、大きな声で面、小手、小手面と、基本の打ち込みを勉強します。
子供達の視線に立ちながら、丁寧に指導されていました。稽古が終われば、子供たちは金原先生の元に駆け寄って、今日の稽古についてお話に耳を傾けます。
20時からは、中学、高校、一般の部の稽古です。
切り返し、正面打ち、小手打ちと、基本稽古を繰り返します。
元立ちには全日本出場経験のある警察関係者をはじめ、学校の先生、転勤で静岡に来た方など、多くの有段者が学生たちと共に迫力ある稽古が繰り広げられます。
武修館では、静岡県代表を各世代で活躍している門下生を数多く輩出しており、今年の全日本選手権、静岡代表になった菊池竜平先生(池新田高校教諭)もその一人、教員となった今も、教え子を連れて、稽古に来てくれることもあるそうです。
今日も一人、初めてという中学生が稽古に参加していました。
そして稽古終了後には、「先生、剣道形教えてください」と中学生。今度は剣道形の稽古が始まりました。
そして、竹刀を手にまだまだ剣道談議が尽きない門下生達。剣道愛好家が集う場となっておりました。
「毎日帰りは23時を過ぎるのよ~」と明るくお話しする疋田館長。道場に入ったばかりの幼稚園の女の子には、手をやさしく握る、防具が上手につけられない子には、防具をつけてあげる。館長として温かく見守り、寄り添い続けている姿がとても印象的でした。
静岡武修館では、居合の稽古もされているとのこと、次回は居合の取材をさせていただきたいと思います。
教室データ
稽古場所 | 静岡市葵区辰起町8-17 静岡武修館 |
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稽古日 | 火曜日 19:00~20:30(幼稚園・小・中学生) 木曜日 19:00~20:00(幼稚園・小・中学生)、20:15~21:30(中・高校生・一般) 土曜日 18:00~20:00(幼稚園・小・中学生)、20:15~21:30(中・高校生・一般) |
入会金 | 2,000円 後援会費(6,000円/年) |
会費 | 小学生 3,000円/月(兄弟の場合5,000円/月) 中学生・高校生 100円/回 一般 200/回 |
問合せ先 | 054-271-1357 疋田朝子 |
ホームページ | http://bushukan.org/ |
静岡市剣道連盟
事務局:
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静岡市駿河区水上7-11
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